喪主の挨拶文の作り方
喪主の挨拶の構成
喪主の挨拶で一番大事なことは、葬儀に参列いただいた方々への感謝の気持ちをあらわすことです。
一般的な挨拶の構成は、参列者への感謝の言葉に始まり、参列者への感謝の言葉で締めくくります。
- 〇自己紹介
- ◎参列者への感謝
- 〇故人の享年などの報告
- 〇亡くなった原因
- 〇故人の生前のエピソード
- 〇遺族のことをお願いする
- ◎参列者への感謝を再び
簡単に自己紹介
喪主が、故人の妻や息子、娘の場合は、まず自己紹介することが多いです。
『【故人の名前】の妻の【自分の名前】です。』
そして、特に喪主が長男の場合は、
『遺族を代表してご挨拶させていただきます。』
と続けることが多いです。
『参列者への感謝』でよく使われる文例
『本日は、○○のなか、母のためにご参列いただき、ありがとうございました。』
○○は当日の気候などで来ていただくのに大変だったと思われる状況を入れる。
例えば、
- ・暑さ厳しいなか
- ・暮れでお忙しいなか
- ・足元の悪いなか
など。
厳しい状況にも拘わらず来ていただいたことに感謝をあわわします。
故人の享年などの報告
一般的に何歳で亡くなったかを報告することが多いです。
以前は『数え年』と『満年齢』があり複雑でしたが、今は、普通に年齢を言うときに使う『満年齢』を用いて報告すれば大丈夫です。
ちなみに、亡くなったときの年齢を、享年(きょうねん)とか行年(ぎょうねん)といいます。
亡くなった原因の報告
これは、言う人もいれば言わない人もいます。
言うとしてもあまり細かく言わなくてもいいでしょう。
肺炎、心不全、多臓器不全など最後の症状を伝えることが多いです。
特に故人が高齢の場合、参列者も高齢であることが多く、あまり具体的な病気名は参列者が気を悪くすることもあるので、このような場合は亡くなった原因自体を省略してしまってもいいでしょう。
故人の生前のエピソード
参列者が深くうなずいたり、「そうよね」と言ってもらえるような参列者がよくご存じのエピソードが望ましいです。
遺族のことをお願いする
妻、息子、娘が喪主のときは、よく遺族のことをお願いすることが多いです。
例としては、
『今後とも変わらぬご指導、ご鞭撻を賜り(たまわり)ますよう、お願いいたします。』
『今後とも変わらぬご厚誼(こうぎ)をよろしくお願いいたします。』
参列者への感謝を再び
最後に、もう一度、参列者へのお礼で終わります。
以上を参考にして、出力された喪主挨拶の文例を自分の言葉で書き換えてください。
言葉の選び方
参列者が親族や親しい知人だけでしたら、あまりよそよそしい葬儀のときしか聞かないような言葉を多用するのは、かえって不自然です。
どこかの本に載っているような挨拶や葬儀社から事前に渡された例文ではなくて、自分の言葉で、故人への思いや参列者への感謝をあらわした挨拶にしたほうがいいです。
使うべきではない言葉
また、使うべきではない言葉もあります。
不幸が重なるのを嫌うことから「重ね言葉」は使わないようにしましょう。
- 「重ね言葉」の例
- ・ますます
- ・次々
- ・いろいろ
- ・重ね重ね
- ・いよいよ
- ・たびたび
- ・返すがえす
- ・しばしば
どうしても挨拶文のなかで出てきてしまう場合は、言い換えれば大丈夫です。
- 「重ね言葉の言い換え」の例
- ますます→よりいっそうの
- 次々→立て続けに、休みなく
- いろいろ→多様
重ね言葉を気にする慣習は、実は年々薄れてきていて、若い人はあまり気にしていないとの話も聞きますが、葬儀では色々な年代の方が集まりますから、まだまだ重ね言葉を嫌う年配者は多いと思います。
そんな人たちに「あいつは常識も知らんのか!」と思われないように、やはり今でも、葬儀では重ね言葉を避けたほうが無難でしょう。
喪主の挨拶のタイミング
喪主の告別式での挨拶は、この4回、
- 〇 到着した参列者に個別に
- ◎ 出棺前に、全員に対して<重要>
- 〇 会食の献杯のとき
- 〇 会食のお開きのご挨拶
この4つのタイミングで、喪主からの挨拶を行うことが一般的です。
なかでも、いわゆる「喪主の挨拶」というと、出棺前に参列者全員に対して行うご挨拶のことになります。
僕のときは、参列されたみなさんが、棺桶に花を手向けながら最後のお別れをしたあと、火葬場に向かう直前に、葬儀社の方に促されて、喪主の挨拶となりました。
一般的にもこの出棺前のタイミングが多いと思います。
母の姿を実際に見れるのは、本当にこれで最後なんだと思うと、男であり喪主でもある僕も涙をこらえるのが精いっぱいで、妹や母と親しかった女性のなかには涙を滲ませて、シクシクと小さな泣き声で泣かれている人もいました。
葬儀のなかでも、一番感極まるこの瞬間に、喪主の挨拶となることが多いです。
当然こんな、悲しみのピークですから、自分でタイミングを計って挨拶するというのではなく、葬儀社の方が促してくれました。
挨拶の時間はどのくらい
悲しみのピークでお話しすることでもありますし、あまり長く話すものではありません。
故人の生前のエピソード部分を中心に、挨拶全体で2~3分に収まるくらいが望ましいとされています。
メモを見ながらでもいいの?
初めて喪主をする人で、あまり多くの人の前でお話しする機会がない人は、さほど長くない挨拶文でもちゃんと言えるか自信がないという人も多いと思います。
もしあなたがそんな心配をしていたなら安心して大丈夫です。
「喪主の挨拶は、メモやカンペを見ながらでいい」です。
特に、参列者が多い葬儀の場合は、緊張して固まってしまうよりも、メモをみながら、きちんと故人への思いや参列された方への感謝のこもったご挨拶ができるほうがよりよいと思います。
僕の場合、葬儀社から事前に例文を渡され、「こちらをそのままでもいいですし、できれば故人のひととなりがわかるエピソードを添えて当日にご挨拶をお願いします」と頼まれて、短いながらも故人への思いを込めた挨拶文を作り、メモ書きして当日ポケットに忍ばせておきました。
結果として、ぼくの場合、メモを読むほど長くない挨拶だったので、メモを見ることはありませんでしたが、頭が真っ白になったときの保険として持ってるだけでも効果があったのかと思います。
スマホを見ながらは控えましょう
ちなみに、挨拶文をメールやテキストファイルで用意しておきスマホや携帯で見ながら挨拶するのは止めたほうがいいでしょう。葬儀の参列者は年配者も多く、スマホを見ながらの挨拶というのは、かなり印象が悪いです。
面倒でも、紙に印刷するか手書きで書き写して、紙のメモを用意するようにしましょう。
喪主以外の人が挨拶を代行してもいいのか?
夫がなくなり、妻が喪主を務めるような場合、ご高齢と動揺で全員の前での挨拶ができる状況ではない場合も結構あります。そのような場合は、息子や娘などが遺族代表として代わりにご挨拶することはよくあることです。必ず喪主となった人が挨拶しなくてはならないわけではありませんから、遺族のなかでその時しっかりと対応できる人に挨拶をしてもらうのがいいでしょう。
喪主以外の人が挨拶する場合は、故人との続柄と、喪主に代わり挨拶する理由を挨拶の冒頭に入れるようにしましょう。
例えば、故人の妻が喪主だけど長男が代わって挨拶する場合、
『〇〇〇〇の長男の□□□□です。何分、突然のことで、まだ母も動揺が収まらないので、喪主の母に代わってご挨拶させていただきます。・・・』こんな感じでいいと思います。
実際、僕が挨拶に使った文例
最後に、僕が母を送ったときの挨拶も載せておきます。
このときは、まだ自動生成できなかったので葬儀社からいただいた例文をもとに自分なりに直して使いました。
- ----- 葬儀社の例文 ここから -----
- 遺族を代表いたしまして、皆様に一言ご挨拶申し上げます。
- 本日は公私ともにご多用中のところ、ご会葬、ご焼香賜り、
- おかげ様をもちまして葬儀並びに告別式を滞りなく終了させて戴き、
- これより出棺の運びとなりました。
- 生前は一方ならぬ御厚情にあずかり、ここに最後のお見送りまでしていただき、故人もさぞかし御会葬の皆様方に、感謝いたしておることと思います。
- なお、残された遺族に対しましても今後ともご指導、ご厚誼をたまわりますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、御挨拶とさせていただきます。
- 本日は誠にありがとうございました。
- ----- 例文 ここまで -----
ふだん使い慣れない、おそらく参列者にしても聞きなれない、ともすれば、どこかよそよそしい言葉が並んでいます。
30名を超える大きな式で、会社関連の方の出席も多い場合は、このような固めのプライベートなことにはあまり触れないご挨拶が適している場合もあるかもしれません。
ただ親族や近い友人しかいない式でしたら、もう少し砕けた表現のご挨拶のほうがいいと思います。
僕の場合はこんな感じにしました。
- ----- 僕のご挨拶 ここから -----
- いよいよ出棺のはこびになりますが、遺族を代表いたしまして一言ご挨拶を申し上げます。
- 本日は、御足元の悪いなか、ご会葬ご焼香を賜り、ありがとうございました。
- おかげさまで、とても心のこもった式を行うことができ、母もきっと「ありがとう」と笑顔で手を合わせて言っていると思います。
- 生前の母の口癖は
- ありがとう
- よかったね~
- いい人なの~
- など常に前向きで、相手を褒めることが多かったと記憶しています。
- 僕が子供のころケガして帰っても、よかったね~、その程度のケガですんで本当によかった とよく言われたのを思い出します。
- 享年82才というと、平均寿命と比べると、やや短かかったのかもしれませんが、
- どんなときも思いっきり力強く生き切った後悔のない人生だったと思います。
- 本日は、そんな母を最後までお見送りいただき誠にありがとうございました。
- こちらでご挨拶にかえさせていただきます。
- ----- 僕のご挨拶 ここまで -----
これは、うちのケースなので、例文のような汎用性はありませんが、
故人の人となりや、故人への思いが伝わるような、あなた独自のご挨拶が準備できると素晴らしいと思います。
文章のうまいへたでなくて、生前の故人の姿が目に浮かぶような文面だといいような気がします。
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