【図解】喪主は誰がやる?その決め方と続柄順位
喪主は誰がなってもいいのですが、一般的な決め方というのもあります。
故人との続柄によって、おおよそこんな順位があります。
これを外すと、「○○さんの葬儀では、長男を差し置いて、次男が喪主になっていたけど、何かあったのかしら?」というような余計な憶測を生んだりしますが、人の噂など気にしなければ実害はありません。
この順位自体も地域や時代によって変わりますので、こだわり過ぎずに、参考程度に捉えるとちょうどよいでしょう。
箇条書きでまとめると、
- (1)配偶者
- (2)長男
- (3)次男、三男・・・
- (4)長女
- (5)次女、三女・・・
- (6)故人の両親
- (7)故人の兄弟姉妹
順位の高い順に、喪主を務められるか見ていきます。
喪主を担うことが難しいのは、
- ・高齢で判断力が低下
- ・体調不良
- ・海外や遠方に居住
- ・未成年者
このような場合は次順位の方を検討します。
ただし、
続柄順位は地域差があります
先ほども少し触れれましたが、、
福井県、石川県、茨城県、山形県などのように、
配偶者よりも、長男が喪主を務めることが多い地域もあります。
福井などの地域では、葬儀が、後継者のお披露目の場としての役目を担っているため、跡継ぎである長男が務めることが多いのです。
遺言やエンディングノートで指定がある場合
色々と続柄順位について細かい説明をしましたが、
故人の遺言やエンディングノートでの指定された者がいるときは、
続柄順位にかかわらず指定されたものが喪主を行うことが普通です。
ですので、葬儀前にできるだけ遺言やエンディングノートは確認しておくべきでしょう。
ただ遺言書を開けるには家庭裁判所で検認してもらわないと法律違反になってしまうので、勝手に開けないようにしてください。
それぞれの家庭にはそれぞれの事情がある
いままで説明した考え方をもとに喪主を誰が務めるか決めてもらえると思いますが、それぞれの家庭の事情は様々です。
お手本のような普通の家族構成の家もあるでしょうし、複雑で誰が喪主になればいいかよくわからない家もあると思います。
そこで、以下に具体的な家族構成や事情を取り上げ、喪主は誰が務めるのがよいのか図解付きで説明してあります。
喪主を誰がやるかはについての法律やルールはありませんので、以下の具体的な事例を参考にしつつ、
あなた自身やあなたの家の考えを優先して決めてください。
1) 【夫が他界】妻、成人した長男がいる
2) 【夫が他界】妻、成人した長男がいるが、妻は高齢で体調不良
3) 【妻が他界】夫、成人した長男がいる
4) 【妻が他界】夫、成人した長男がいるが、夫は高齢で体調不良
5) 【子供が他界】両親、成人した兄弟姉妹がいる
6) 【夫が他界】妻は既に他界、嫁いだ長女がいる
7) 【母が他界】父は既に他界、成人した長女と婿と同居していた
8) 【元夫が他界】離婚した妻との間に成人した長男がいるが、元夫と長男は疎遠だった
9) 【元夫が他界】離婚した妻との間に成人した長男がいる、元夫に他の身寄りがない
【夫が他界】妻、成人した長男がいる
非常によくあるケースですが、この場合は、妻が喪主となります。
以前は、妻が健在でも長男が喪主となることが多かったのですが、最近では妻が喪主となることがほとんどです。
ただ、今でも長男が喪主を務めることが普通である地域もあります。
福井県、石川県、茨城県、山形県などは、その傾向を色濃く残しています。
【夫が他界】妻、成人した長男がいるが、妻は高齢で体調不良
妻が高齢、体調不良などで喪主を務めることが困難な時は、
・長男が喪主を務める
・妻が喪主、長男が施主を務める
このどちらかにするとよいでしょう。
ちなみに、施主を立てた場合は、挨拶は喪主である妻が行い、
金銭面、実務一般は施主である長男が引き受けることになります。
【妻が他界】夫、成人した長男がいる
【妻が他界】夫、成人した長男がいるが、夫は高齢で体調不良
【子供が他界】両親、成人した兄弟姉妹がいる
親より先に子供が亡くなった場合、故人が結婚していなければ、父親が喪主となることが多いです。
以前は、親が喪主を務めることを逆縁と言って避ける傾向にありましたが、最近では都市部を中心に親が喪主を務めることが多くなっています。
【夫が他界】妻は既に他界、嫁いだ長女がいる
長女の苗字は既に変わっていても血筋は間違いなく故人の直系ですから、長女が喪主となることが普通です。
故人と喪主の苗字が異なっていても問題ありません。
昔は、男性であるという理由で血は繋がていないけど長女の夫が、喪主を務めることもありましたが、最近では性別よりも血のつながりを重視して決めることが増えています。
【母が他界】父は既に他界、成人した長女と婿と同居していた
婿養子を取り妻の実家で同居している場合ですが、
この場合でも、血のつながった長女が喪主を務めるのがよいでしょう。
喪主は男性のほうが相応しいという考えもありますが、おそらくそれは昔は男性が家督を継ぐのが当たり前だった名残だと思います。
それよりも直系である方を優先させたほうが、よいでしょう。
もし長女が体調不良などで喪主が務まりそうにないなら、その旦那が代役を務めることはありです。
【元夫が他界】離婚した妻との間に成人した長男がいるが、元夫と長男は疎遠だった
かなりデリケートな状況で、意見が分かれることも珍しくないケースですが、あえてハッキリというと、
故人の弟が喪主となるのが、一番ふさわしいと考えます。
判断のポイントは、
- ・故元夫と長男の行き来がない
- ・故元夫のご両親やご兄弟がご健在
この2点です。
亡くなられた元夫と長男が離婚後に一切会っていなくても、相続権は長男にあります。
だからといって喪主を務めなくてはいけないという拘束力はありません。
故人の両親か兄弟姉妹がご健在でしたら、
全く会っていない実の息子よりも縁の深かったご両親やご兄弟が喪主を務めたほうがよいことが多いです。
疎遠の長男が喪主を務めるのが困難な理由は、
喪主は葬儀でご挨拶するだけでお終いではなく、
その後、遺骨の納骨や四十九日、一周忌、三回忌などの法要を執り行い、
その家の墓を守っていくことを期待されます。
ろくに会ったこともない父方の親戚とのやり取りは、双方に大きな負担となることが多く、今まで見ず知らずだった人達のお墓を守るというのは並大抵の覚悟ではできないでしょう。
ですので、亡くなった元夫の家の中から喪主を立てたほうが、お互いにとってよいと思います。
元夫の家系のご両親でも兄弟姉妹でもよいのですが、
そもそもの順位は、
(1)故人の父
(2)故人の母
(3)故人の弟
となりますが、
故人の長男が成人していることから、故人の父母は、かなりご高齢であると推察されます。
ですので、よりしっかりした年齢であろう故人のご兄弟が喪主を務めることが現実的だと思います。
この図で言えば、故人の弟が喪主になるわけです。
ただ1つお金の問題があります。
最近では、何らかの相続財産や生命保険などを残して亡くなる方が多いので、葬儀費用は、相続財産から支払うという風潮が当たり前になりつつあります。
ところが、この図にあるようなケースでは、
相続財産は故人の長男に、
葬儀の負担は故人の弟に、
なってしまい、喪主を務めた故人の弟からすれば、不公平感を感じることでしょう。
そこで、故人に財産がある場合は、喪主を務めていただく弟さんと故人の長男である程度お話し合いをして、相当額を相続を受ける長男が負担することがよいと思います。
香典の形で故人の長男が喪主を務める故人の弟にお渡しすれば、よいでしょう。
【元夫が他界】離婚した妻との間に成人した長男がいる、元夫に他の身寄りがない
このような事例も意外とよく聞きます。
最後はお一人で逝くことになるので、第一発見者が警察に連絡し、警察から故人の親族に連絡が行き、至急対応してくださいと言われるようです。
亡くなられた元夫に兄弟姉妹がなく両親もすでに他界していた場合でも、離婚した元妻が喪主を行うことはまずありません。
この場合は、故人の長男が喪主を務めることが多いと思います。
長男がまだ幼い頃に両親が離婚し、一切元夫と長男が関わり合いをもっていなかったとしたら正直戸惑うことでしょう。
財産が残されていなければ、喪主を務める長男が葬儀費用も負担することになります。
普通に葬儀を出すと200万円弱とも言われていますので、かなりの負担です。
また、故人の交友関係も全くわからないので、葬儀のご連絡を出すことも困難です。
そこで、このような場合は、直葬で執り行う方が多いです。
直葬ならば、参列者は喪主お一人ということもありますし、葬儀費用も15万円くらいで収まります。
納骨は、海洋散骨を選ぶ方が多いようです。