葬儀後手続きの優先順位のコツ
葬儀が終わると休む間もなく、四十九日の手配や故人の年金、保険、銀行などに亡くなったことを連絡していくのですが、これが意外と大変で、色々な書類の提出を求めてくるところもあります。
でも、これらの手続きをすることにより、
・毎月お金をいただいていた年金などの給付を止める
・毎月、支払っていた保険掛金等の引き落としを止める
・保険金等かなりまとまった現金を振り込んでもらえる
など、かなり大事なことばかりなので、キチンとやっていきましょう。
葬儀後の手続きをスムーズに行うコツは、『 手続きを行う順番 』です。
これを間違えると、とんでもなく大変なことになるので、以下の「葬儀後手続きの優先順位」をよく読まれてから、取りかかってください。
葬儀後手続きの優先順位
ずばり、この優先順位で行うとスムーズでした。
このような手続きのあとに、故人が不動産を持っていましたら、不動産の名義書き換えも行いますが、
あなた以外に相続人がいる場合は、相続財産をどのように分けるか決めてから、いわゆる財産分割協議を行なってからでないと、勝手にやってしまっては揉めるもとになりますので、とりあえず11番までを故人が亡くなって3ヶ月目くらいを目処にやっておきたいところです。
これらが揃って、どんな財産があるか分かったところで、相続の権利のある相続人を集めて財産分割協議を行うことになります。詳しくは「もめない財産分割協議の進め方」にて書いていきます。
まずは、個々の葬儀後手続きについてもう少し詳しく説明していきます。
1)年金への連絡はとにかく急ぎで
亡くなった後に給付されるとその返還手続きがすごい大変と聞きます。
給付を受けている年金の事務所にまず電話連絡して、給付を止めてもらいましょう。
正式な手続きは書面の提出を以って行いますが、
まずは電話しましょう。
連絡するときは、年金番号とかわからなくても、以下のことを伝えれば調べてもらえます。
・故人の氏名、生年月日、死亡年月日
・あなたの氏名、故人との続柄
年金と一言に言っても、何種類もあります。一般的なところはこの4つでしょう。
・厚生年金
・国民年金
・国民年金基金
・保険会社などにより個人年金
会社勤めされていた人やご主人が会社勤めされていた奥さんなどは厚生年金、
自営業の人は国民年金に連絡しましょう。
また、人によっては、上記に加えて国民年金基金や保険会社の個人年金などに入られている場合もあるので、これらにも電話連絡しましょう。
2)四十九日の手配と位牌の準備
四十九日の手配も急がなくてはなりません。
1ヶ月以上あると思って油断してはなりません。
というのも、
葬儀と違って四十九日は親族の集まりやすさを優先するのでみなさん土日に集中します。
そのため僧侶のスケジュールを押さえるのが大変です。
できるだけ早く日にちを決めて、できるだけ早く読経の予約をしてください。
まずは、葬儀でお世話になったお坊さんに連絡するとよいでしょう。
また、”お坊さん便”などを利用する人も最近は多いです。
それと、位牌は依頼してからできあがるまで、通常2週間かかります。
四十九日に仮位牌から位牌に魂入れを行うことが一般的ですので、四十九日までに用意するために、今すぐ、頼んでおいたほうがよいでしょう。
詳しくは、こちらのページを参考にしてください。
四十九日の法要って何するの?
3)相続用の喪主名義の銀行口座を作ろう
あなた以外にも相続人がいる場合は、これ結構大事です。
普段はそんなに仲が悪いわけでもない兄弟姉妹でも、お金のことで揉め出すことは決して少なくありません。
よくあるパターンは、最初は「いいよいいよ相続のことは兄さんに任せるから」と言っておきながら、後から他人の入れ知恵が入り、「それっておかしいじゃない!」って細かいことを言ってくるパターンをよく聞きます。
なので、他の相続人や税務署などから後から何を聞かれても大丈夫なように、葬儀後のお金の流れを明確にしておくと安心です。
そのためには相続用の銀行口座を作って、そこに故人のお金を一度すべてまとめておくと分かりやすくて便利です。
名義は喪主をつとめた人の名前でいいでしょう。
遺産分割協議が済んで各相続人に遺産を分配するまで一時的にお金をプールするための専用口座が1つあると非常に便利です。
4)故人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍をとる
この手続きが数ある葬儀後手続きの中で一番大変でした。
これから行う葬儀後手続きのなかで、必要書類として戸籍の提出を頼まれるケースが多く、しかも亡くなるまで住んでいた住所地での戸籍だけでなく、故人が生まれてから亡くなるまですべての戸籍謄本が必要となることが多いです。
これは、相続人が誰なのかを特定するのに必要なことだと思いますが、結構大変です。
故人が本籍を一度も動かしていないなら、1度の手続きで戸籍をとることができますが、
長い人生ですから、何度か本籍の移動を伴うような引越しをしているほうが普通でしょうから戸籍もその分だけ手続きすることを覚悟したほうがいいです。
特に、故人が地方から東京に出てきた人の場合、地方の市役所とやり取りしなくてはならないのでそれなりに時間もかかりますが、他の資料に先駆けて、まず戸籍を全部そろえておくことが、結局は一番スムーズに葬儀後の手続きを進めることができるコツです。
効率的な戸籍の取り方を伝授いたします。
まず、役所に行かず、電話と郵送ですべて行うとよいです。
例えば東京で暮らしていた方の戸籍を取る場合でも、
生まれてから亡くなるまでの戸籍となると、東京だけでは済まないケースがほとんどだと思います。平日に地方の役所に行くのは困難ですし、東京の役所も会社員が行ける時間帯はものすごく混雑しています。
ですので、電話と郵送をおすすめします。
役所に電話して戸籍を取るのに必要な書類を聞いて、それを郵送するだけです。
手数料の支払いが現金や振り込みでできないので、郵便小為替というものを買うのがひと手間増えますが、役所に直接赴くよりも全然楽です。
必要書類を送るときにメモ書きで、
故人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍を取りたい旨を書いておくと、もしその役所で誕生時まで遡れないときは、役所から電話をいただけたりして「これ以前は、〇〇の役所に問合せてください」と教えてくれますので、その通りに次の役所も電話と郵送で戸籍を取っていきます。
これを3回くらい繰り返すと、出生時から亡くなるまでの戸籍が揃います。
また、戸籍の提出を要求されることは結構多いので、1通ではなく複数通とっておくとあとあと楽です。
5)葬儀費用の支払
葬儀費用の支払いには、当日現金でお渡しするものと、後日請求書が来て振込むものに分かれます。
当日現金でお渡ししたもの
・斎場の利用料
・お坊さんへのお布施(御膳料・交通費込み)
後日請求書払いのもの
・葬儀社への支払
・通夜振舞い、精進落としをいただいた料理屋
・会葬御礼品を用意してもらったお店
健康保険もしくは後期高齢者医療保険から葬儀費用の一部として7万円いただけるのですが、葬儀社への支払をした後でないと、請求ができないので、まずは葬儀社への支払を優先しましょう。
葬儀費用を誰が出すかですが、故人に預金があれば、そこから使わせていただくのがよいでしょう。
葬儀費用は相続税非課税ですから、そもそも故人のお金を使うことを政府も想定しているのでしょう。
後々出どころがハッキリわかるように、先に作った相続用の預金通帳から降ろしたり、振り込んだりするのがよいでしょう。
預金がない場合は、御香典の半分と喪主もしくは施主が持つことになります。
喪主や施主に余裕がない場合は、喪主の兄弟姉妹で折半することもあります。
6)遺品の整理
遺品の片付けもできるだけ早くしましょう。
病院に入院されていたら待ったなしですし、うちの母のように特別養護老人ホームのお世話になっていた場合も、そんなには急かされませんでしたが、入居待ちの方が列をなして待っているとも聞きますので、できるだけ早くお部屋を空けるようにするのがお世話になった施設へのせめてもの配慮だと思います。
遺品の整理で、形見になるようなものが見つかる場合もありますし、相続財産になるような通帳などが出てくるケースもありますので、遺品の整理は業者任せにはしないで、かならず喪主となったあなたが主体となってすすめるべきことの一つです。
とはいえ大きな箪笥や不要となった大量の洋服などの処分は業者に頼らざるを得ませんから、僕の場合はこんな感じにしました。
ネットで「便利屋 新宿区」で検索して、Yahooの広告枠に出てきた便利屋から選びました。
便利屋って資本も資格もなく始められるので、どんな人が来るかちょっと不安な感じもしますよね。頭ぼさぼさで歯が抜けた清潔でない人がきたらさすがにちょっとヤダし、便利屋を頼むときに躊躇する最大の理由がどんな人が来るのか分からい点だと思いますが、Yahooの検索結果の上のほうにあるのは、知っている人もおおいですが広告なので、広告費を払って載せていいる会社ですから、便利屋をビジネスとしてとらえしっかりした方を手配してくれると思い広告枠のなかから選び依頼しました。
たまたまかもしれませんが、とてもしっかりした手際のいい方が来てくれました。
便利屋さんとの約束の1時間くらい前に施設に行って、まずは僕がすべての荷物を確認して、取っておきたいものと処分してもいいものに分けました。ほぼほぼその作業が終わったところに便利屋さんが来てくれて手際よく処分していいものを持って行ってくれました。
財産になるようなものはありませんでしたが、施設の中で元気そうにしている母の写真をいくつか見つけることができました。
今なら”くらしのマーケット”のように実際にくる人の顔と評判を確認したうえで依頼できるサイトもあるので、こちらを利用したほうが確実ですね。
くらしのマーケットには遺品整理のメニューもありましたので、一般の便利屋よりも手慣れた方が来てくれるでしょう。
7)生命保険の請求
故人が民間の生命保険に入っていたならば、保険会社に亡くなった旨を伝えて保険金請求をしましょう。
その時に払い込まれる保険金は、故人の通帳には入らないので、先に作った相続用の銀行口座に振り込んでもらうといいでしょう。
8)後期高齢者医療保険に葬祭費の支給を申請する
健康保険や後期高齢者医療保険も申請すると葬祭費として1~7万円を喪主が受け取ることができます。
地域によって金額は変わりますが、東京の場合は、ほとんどの区で7万円いただけます。
受け取り方は振り込みになりますので、相続用に作った喪主名義の銀行口座を振込先にしましょう。
後々お金の流れを確認しやすいのでトラブル防止になります。
申請の期限は、故人が亡くなった日から2年間ありますが、なるべく早くやってしまったほうがいいでしょう。
9)介護保険に連絡
10)故人が使った可能性のある銀行に名寄せ
故人が生前に預金通帳を作った可能性のある銀行や郵便局に電話で確認していきます。
まずは住んでいた地域の都銀、信金、郵便局、引っ越ししていたら、以前住んでいたすべての地域の都銀、信金、郵便局にも確認します。
確認方法は、電話で、「私の親の□□□□□が〇月△日に、他界しまして、以前、貴行(きこう)を使っていたような話をしていたので、手元に通帳はないのですが、預金があるか確認していただけますか?」と言えば、銀行によっては、折り返し電話で教えてくれる場合もありますし、一度、来店してくださいと言われる場合もあります。
これは各銀行と話し合ってください。
株をやっていたとか、債券がどうとかの話を生前されていたのなら、証券会社についても同じように問合せしましょう。
結構、この名寄せをしない方もいるようですが、休眠口座のまま永久に埋もれさせるなんてもったいないことです。
電話するだけで預金が見つかることもありますので、ぜひやったほうがいいと思います。
11)故人の銀行、郵便貯金の口座を閉じる
すべての葬儀後手続きの最後に銀行や郵便局に連絡するのがコツです。
預金者が亡くなったことを銀行や郵便局が知った時点で口座は凍結されて1円も下せなくなります。
これを解除するには、故人の生まれてから亡くなるまでのすべての戸籍と相続人全員の実印が押された委任状と印鑑証明書が必要になります。
実は、うちの祖父が亡くなった際に、口座が凍結されて、当時は疎遠になっていた相続人もいて、すべての書類を整えるのに、何ヵ月もかかったことがありました。