喪主と施主の違いは?施主を立てる場合を図解で説明
「喪主」と同じような意味の言葉に「施主」というのがあります。
もしあなたが喪主を務めることになったのなら、葬儀社や寺院などとの話し合う機会も多くなると思うので、「喪主」と「施主」の違いが曖昧なままだと思わぬ行き違いが生じかねません。
この2つの言葉の違いが、ハッキリとはわからなければ、この記事をサッと読まれてください。
喪主と施主の違いを簡潔に説明しています。
喪主と施主の違い
喪主は、葬儀の顔となり、遺族の代表として弔問客への対応や喪主挨拶など宗教儀式の中心となる人
施主は、葬儀費用を負担し、喪主だけでは葬儀の取り仕切りが困難な場合は、葬儀社や僧侶との打ち合わせも行う運営面での支援者
普通は、喪主となった人が施主の役割も兼ねているため、施主という言葉は聞きなれないかもしれません。
どういうときに、施主を立てるのか見てみましょう。
葬儀で施主を立てる場合は
喪主となる人が、
高齢であったり、まだ若すぎたりして、
経済力や事務処理能力が十分でない場合、それを補うために施主を立てることになります。
例えば、高齢化が進むなか増えているのが、こんなケースです。
80代のご主人がなくなり、妻が喪主を務める場合、妻も80歳を超えて、葬儀社や僧侶との打ち合わせや親戚への連絡、葬儀費用の支払いなど1人で行うことは、なかなか困難なことでしょう。
そこで、喪主は亡くなったご主人の妻が務め、資金や実務的な面をサポートする役割として、故人の長男が施主となることが多いのです。
上記の例でいえば、長男は50歳以上でしょうから、十分しっかりした年齢ですので、この方が葬儀費用の負担も含めて実質的に葬儀を取り仕切ることになります。
ただ、親戚や知人への訃報連絡や会葬御礼など表向きは、喪主の名前で通し、あくまでも葬儀の裏方として、尽力するのが施主になります。
余談ですが、
以前は、家督を継ぐ者、多くの場合、長男が喪主を務めるのが当たり前でしたので、
父親が亡くなると、母親が存命でも、長男が喪主となっていました。
このため、若くして父親が亡くなるとまだ幼いが長男が喪主となり、経済力や実務面を補うために母親が施主としてサポートするということがよくありました。
葬儀で喪主を助ける役割としての施主
葬儀での喪主と施主の一般的な役割分担
喪主と施主の一般的な役割分担は、
喪主 | 施主 | |
---|---|---|
葬儀社との打ち合わせ | × | 〇 |
葬儀費用の支払い | × | 〇 |
僧侶との打ち合わせ | 〇 | 〇 |
お布施を出す | × | 〇 |
訃報の差出人名 | 〇 | × |
会葬御礼の差出人名 | 〇 | × |
香典返しの差出人名 | 〇 | × |
喪主の挨拶 | 〇 | × |
あくまでも一般的な役割分担を参考のため示しましたが、絶対こうしなければいけないというものではありません。
ここまでのことをまとめると、
葬儀での施主とは、喪主だけでは葬儀を執り行うのが難しい場合、実務的な補佐をする役割である。
喪主だけで問題ない場合は、施主はいない。
ということになります。
ここで説明した葬儀での施主とは別に、法要を執り行う人も施主と呼ばれます。
次に法要での施主について簡単に説明します。
施主は、実は2パターンある
喪主と施主の違いが、ややこしいのは、施主には、以下の2種類があるためです。
・葬儀で喪主の補助役(喪主と別人物)
・法要での呼び名(喪主と同一人物)
葬儀での補助役としての施主については、すでに説明しました。
法要での施主について、もう少し詳しく説明しましょう。
葬儀と法要で呼び名が変わる
葬儀と法要で、それを執り行う人の役名が変わるのです。
葬儀では「喪主」と呼ばれていた人が法要では「施主」と呼ばれます。
同一人物が、葬儀も法要を執り行った場合でも、呼ばれ方が異なるのです。
葬儀・法要 | 呼ばれ方 |
---|---|
通夜 | 喪主 |
告別式 | 喪主 |
四十九日法要 | 施主 |
一周忌法要 | 施主 |
三回忌法要 | 施主 |
これ以降の法事もすべて施主と呼ばれます。
四十九日法要などは、葬儀社が絡まず、司会進行者などもいないので「施主」と実際に呼ばれることは滅多にありませんが、
寺院や霊園の方との話で「施主」という呼称が出てくるかもしれません。
そのときは、その法要を執り行っている人、葬儀の時に喪主を務めた人のことだと考えてください。
喪主と施主の違いのまとめ
喪主と施主の違いを簡単な表にまとめると、
執り行う人 | 補佐する人 | |
---|---|---|
<葬儀> 通夜 告別式 | 喪主と 呼ばれる | 施主と 呼ばれる |
<法要> 四十九日 一周忌 三回忌 など | 施主と 呼ばれる | ― |
喪主と施主の違いで重要なポイントは、
・喪主は葬儀を執り行う人
・施主は葬儀費用を負担し喪主を補佐する
・葬儀の施主は必ずいるわけではない
・四十九日などを執り行う人も施主と呼ばれる
これだけ覚えておけば、葬儀社や寺院、霊園との打ち合わせで、思わぬ行き違いが起きることもないでしょう。