親族と遺族の違いは
「親族と遺族の違い」を意識するのは、葬儀に参列したときですよね。
「親族の方はこちらへ」とか、
「遺族の方からご焼香を」などと言われて故人の子供の配偶者の立場だったりすると、自分が親族なのか遺族なのか、いまいちよく分からなくなる時ってありませんか?
結論から言うと、
葬儀で使われる
「親族」も「遺族」も、ほぼ同じ
と考えて差支えないです。
故人の家族・親戚だったら、血の繋がりがなくても、
親族でもあり遺族でもあると考えていいということですね。
もう少し詳しく説明すると、
昔は、親族と遺族を使い分けていた
老人ホームに入る人がまだ少なく、
老いても家族と暮らすのが当たり前の時代では、
遺族は、故人と同じ家に住み生計を1つにしていた家族、
親族は、家族以外の親戚、
と分けていました。焼香の順番や席次など、遺族を優先して行う慣習があったのです。
今は、親族と遺族の違いが曖昧に
ところが最近では、核家族化が進み、一人暮らしや老人ホームで最後を迎える人が圧倒的に多くなったため、故人と同じ家に住んでいた家族がいないことのほうが当たり前になってきました。
葬儀社のスタッフから直接お聞きしたところ、
昔の定義では、遺族がいない人だらけで困ってしまい、両者の違いを有耶無耶にして、今では、「親族・遺族の方」と一緒くた にして呼ぶようにしているそうです。
このような理由で、親族と遺族の違いは曖昧になりましたが、
故人に近い人から焼香したり、葬儀、法事のときに前のほうに座るなどの習わしは残っています。
今でもある親族と遺族の明確な違い
葬儀の時に使われる親族と遺族は、ほぼ同じ意味であると説明しましたが、
言葉として、親族と遺族にはハッキリとした違いがあります。
親族は、生きている人にも使える言葉です。
遺族は、亡くなった人がいるときにだけ使う言葉です。
親族と遺族の違いはと言われたら、現代では、この部分だけが違うと考えていいと思います。
親族の正確な定義は
では、親族って何処から何処までなんでしょう?
親族には、ハッキリとした定義があって、
民法で、
・配偶者、
・6親等以内の血族
・3親等以内の姻族
と決められています。
6親等以内の血族というと、今生きている血のつながりのある親戚はほぼ該当します。
3親等以内の姻族というのも、かなり広い範囲となります。
例えば、ひ孫の配偶者、甥や姪の配偶者、叔父や叔母の配偶者、
配偶者の祖父母、配偶者の叔父や叔母、配偶者の甥、姪も3親等以内の姻族になります。
普通に親戚付き合いしている人は、皆、親族と考えてまず間違いないでしょう。
念の為、血族、姻族、親等の言葉の説明をしておきます。
親等の数え方などは、勘違いしている人も多いので、ザッと読んでおくとスッキリすると思います。
血族は血の繋がりがある親族で、
婚族は婚姻により繋がった親族のことを示します。
親等というのは、親族の関係の深さを示す単位です、
親子間:1親等
配偶者間:0親等
を基本に考えます。
弟は、
本人→親→兄弟姉妹と辿るので2親等となります。
叔父さんは、
本人→父母→祖父母→叔父叔母と辿るので、3親等となります。
親族の中でも、本人→子供→孫と、すべて直線的な親子関係だけで繋がっている場合、直系親族と呼ばれ、特に近い親族となります。焼香の順番や葬儀、法要での席次などで、より上座や早い順番があてがわれます。
一方、兄弟姉妹などで枝分かれした親族は傍系親族と呼ばれ、焼香の順番や葬儀、法要での席次など直系親族よりも下座や遅い順番となります。
焼香の順番や葬儀、法要での席次などは葬儀社スタッフや年長者が促してくれる場合もありますが、できるだけご自身で判断していきたいものです。
法律上の遺族の定義は
葬儀においては、遺族と親族の違いがほぼなくなったと何度か説明しましたが、法律上の遺族の定義というのが、いまだに有効なものとして残っているので、最後にご紹介します。
ただ、この法律で定められた定義は、遺族年金などの支給の考えの基礎となる部分なので、いわゆる葬儀の中で使われている遺族とズレがあるので、必要な方だけ目を通してもらえばいいと思います。
恩給法では、
亡くなった方と生計を1つにしていた配偶者、子供、両親、祖父母、兄弟姉妹を遺族としています。
労働基準法では、
亡くなった労働者の収入によって生活していた配偶者、もしくは内縁の妻、子供、孫、両親、祖父母としています。
これらの法律はどちらも、収入の面で一家を支える大黒柱が亡くなったときに、金銭的援助の範囲を定めるのが目的なのでしょう。