海外で死亡した場合、遺体搬送費用と日数は?手続きはどうする
もし海外で家族が亡くなったらどう対応したらよいのでしょうか。どこから連絡があるのか、手続きはどうすれば良いのか、費用や日数はどのくらいかかるのかなど、具体的な手続きを説明します。
海外からの遺体搬送は何日かかる?その費用は
海外で日本人が亡くなった場合、まずは現地の警察から在外公館を通し、日本の外務省に連絡が入ります。そのため死亡から遺体搬送までの手続きなどのご相談は、在外公館と行うのが一般的です。これは国ごとに必要な手続きや書類が異なることがあるからです。
そしてご遺体は日本へ戻るまでの間、空輸業者の保管施設などに預けられます。基本的にこの時の保管料金は遺族が負担します。
海外から日本への遺体搬送の日数や費用は、ご遺体の取り扱いによって異なります。日本では火葬が一般的ですが、外国では土葬が一般的なところもあります。ご遺体をそのまま日本まで搬送するには、エンバーミングという消毒・防腐処理を行わなければいけません。しかし国によってはエンバーミングが出来ない場合もあります。
その場合は現地で火葬するための手続きをとらなくてはいけません。
在外公館とは
在外公館とは、大使館や総領事館、政府代表部などの総称です。外交を行う重要な拠点で、世界中に200を越える在外公館が存在します。現地で亡くなり、日本人と判断されればまず大使館や総領事館などの在外公館に連絡が入ります。そこから外務省を通して、日本の家族に連絡が入るのです。
海外から日本への遺体搬送にかかる日数の目安
遺体搬送の日数は、死亡された国によって異なります。基本的に航空便や空輸の手配は遺族が行います。海外からの遺体搬送を専門する葬儀社もありますので、そちらを利用すれば手配を代わりに行ってもらえます。海外からご遺体を移送する場合、飛行機を使うことが一般的です。必要書類が揃ったあと、航空便の手配を行い、国内へと移送します。以下は飛行機を使った場合の日数目安です。
韓国、中国、台湾などの東アジアから
日本から地理的に近いことから、ご遺体をそのまま搬送されることを望む遺族が多い傾向にあります。
飛行機では2時間半~4時間かかります。
インドネシア・フィリピン・ベトナム・シンガポール・マレーシアなどの東南アジアから
東南アジア圏からもご遺体をそのまま搬送することは可能です。東南アジア各国からは飛行で5~7時間ほどかかります。
アメリカ、カナダから
アメリカ・カナダではエンバーミング技術は一般的な技術です。アメリカ西海岸やカナダへは飛行機で8~9時間、アメリカ東海岸へは10時間以上の時間がかかります。
イギリス・ドイツ・フランスなどEUから
EU圏もエンバーミングが一般的な技術として確立しており、ご遺体をそのまま搬送可能です。EU圏も飛行時間が長く10時間以上かかる場所もあります。
ご遺体搬送費用
海外から日本へご遺体を搬送する場合は、空輸費用だけでなく、人件費や棺、エンバーミング、ドライアイス代などさまざまな費用がかかります。目安として100万円前後とされています。しかし日本から距離が離れている場合は、150万円を超えることもあります。個人で手続きすると複雑なため、海外からの遺体搬送を行っている葬儀社や海外と日本の橋渡しをしてくれている医療情報センターなどに相談するのがおすすめです。
以下は葬儀社などの遺体搬送を依頼した際にかかる費用項目です。
・航空運賃
・エンバーミング費用
・エンバーミング施設に搬送した場合の費用
・遺体保管費用
・書類作成費用
・棺・納棺と梱包費用
・代行手続き費用
ご遺体処理や海外移送の費用は国によって大きく異なります。事前にしっかり確認しておきましょう。
海外医療情報センターとは
海外医療情報センターとは日本のNPO団体で、内閣府から特定非営利活動法人の認証をされています。海外での事故や怪我、医療搬送、遺体搬送などの問い合わせに、24時間365日対応してもらえます。
・特定非営利活動法人 海外医療情報センター
住所: 〒104-0042
東京都中央区入船2-2-6 NTイリフネビル3階-A
電話番号(代表):03-5117-2520
医療相談専用ダイヤル: 0120-688-666
医療相談専用ダイヤル(海外): +81-3-5117-2560 東京コールセンター
海外からの遺体搬送に必要な書類は
日本人が海外で死亡した場合、すぐに遺体を搬送してもうらことはできません。国によって違いますが遺体搬送には一般的に以下の書類が必要です。
本人のパスポート
パスポートは海外から出る際と日本へ入国する際に必要です。
ご遺族が現地へ行かれる場合はそこで在外公館などと相談しながら手続きをすすめます。もし現地へ行けない場合には、現地の在外公館や葬儀会社、海外搬送サービス会社などがサポートしてくれるので一度相談してみましょう。
死亡診断書または死体検案書
現地の医師から取得します。この書類は空輸する際だけでなく、日本で火葬する際も必要です。事故死や自殺、他殺などの場合は、監察医から死体検案書も貰う必要があります。
外務省の職員が書類の作成や案内をしてくれます。
またこちらは和訳したものも必要です。和訳した書類は日本で死亡届を提出する際に、添付します。疑問や不安点があれば外務省や海外医療情報センター、葬儀社などに相談しましょう。
防腐証明書
エンバーミングをした際に必要です。エンバーミング証明書ともいいます。エンバーマーから取得できます。
火葬許可書
現地で火葬された場合にはその国の在外公館で「火葬許可証」を貰います。
また日本の空港に到着した際にご遺体を引き受けてもらう日本の葬儀社も手配が必要です。
日本への遺体搬送に使える航空会社は
ご遺体は航空貨物として扱われるため、基本的にどの航空会社でも受け付けています。
事前に航空会社等と搬送日程の協議を行います。書類の確認、フライト便の確定などをここで行います。
またあらかじめ日本で葬儀社を手配しておけば、空港到着後もスムーズに搬送してもらえます。またチケットが取れれば、ご遺族と故人が一緒の飛行機で帰ることも可能です。
成田空港や羽田空港での手続きは、どうする
成田空港や羽田空港にご遺体が到着すると、貨物セクションに搬入されます。ご遺体が到着後、通関に主に1時間ほどかかります。
そして海外から日本へご遺体を搬送してくれる業者や日本の葬儀社に連絡していた場合、ここで専用車両に積み込みます。ここからご自宅へ向けてご遺体が搬送されます。
海外からの遺体搬送では、どこに何を頼めばいい
遺体搬送の手続きは個人でも行えますが、用意する書類が多く、国によっても規定が違いますので専門の葬儀社に依頼するのが一般的です。
葬儀社によっては国際遺体搬送を専門に行っている所もあり、空港内業務や書類の取り扱いや翻訳、搬送ルートの選定と手配、ご遺体の修復処置などを遺族の代わりに一貫して行ってもらえます。
遺族が行う手続き
・必要書類の用意
・遺族の渡航手続き
・日本の葬儀社への連絡
必要書類は在外公館が用意してくれる場合もありますが、確認は必ず行わなければいけません。また移送する国によって規則が違いますので、在外公館に確認します。
納棺梱包や航空運送などの手続きは領事館員や葬儀社などが行ってもらえます。
しかし遺族の航空機の手配は個人で行います。また空港到着後の自宅へ搬送してもらうため、現地の葬儀社と連絡を取ります。
葬儀社が代行してくれる手続き
・海外の担当機関との連絡
・在外公館関係の手続きのサポート
・ご遺体の処置
・運送の手続き
・日本での葬儀の準備
海外での手続きや遺体搬送、国内での移送を専門に行っている業者も多くあります。不安な点が多い場合は専門業者に依頼するのも一つの手段です。
海外旅行保険で遺体搬送費用まで補償されるか
海外から日本への遺体搬送費用にはおよそ100万円以上かかりますので、どう用意しようか悩むご遺族の方も多いと思います。
この費用は海外旅行保険で補填できる場合もあります。内容は保険会社によって異なりますが、死亡の場合には事故の発生からその日を含めて180日以内に死亡した場合に障害死亡保険が払われることが多い様です。
また保険会社が遺体搬送に必要な手続きを行ってくれる場合もあります。
損保ジャパン日本興亜
加入者が死亡した場合、遺体処理費用(100万円を限度)と現地から自国への遺体搬送費用が補填されます。傷害死亡保障は、1,000~3,000万円のプランが用意されています。
ジェイアイ傷害火災保険
傷害死亡保障は、1,000~5,000万円のプランが用意されています。こちらの遺体処理費用が100万円まで補填され、遺体搬送費用も含まれます。
故人が海外保険に入っていたか確認する方法は?
海外旅行保険など保険に加入していると、保険証券が送られてきます。これをみれば個人がどんな保険に入っていたか分かります。また本人の名前や生年月日など分かり、本人確認できれば、保険加入しているか調べてもらうこともできます。死亡時にどんな保険に入っているか分かった場合、保険会社に連絡すればご遺体の搬送の手続きを行ってもらえる場合もあります。その際の費用は保険会社が負担するので、一度連絡をしてみましょう。
保険に入っていたか分からない場合は
故人からどんな保険に入っていたか聞いていない、保険証券が残っていない場合は残念ながら確認するのは困難です。もし葬儀が終わって、保険証券などを見つけて後日請求する場合は、電話では教えてもらえないこともあります。窓口に死亡の記載のある戸籍謄本や身分証明書などを持っていけば確認することができます。
海外からの遺体搬送のまとめ
大切な人が遠く海外で亡くなった場合、どうしてよいか途方にくれてしまいます。そんな時は在外公館や葬儀社、医療情報センターなどに相談すれば、手続きの方法を教えてもらえますので相談してみましょう。