エンディングノートの挫折しない書き方と家族に感謝される内容
喪主を務めた人の多くは、自分のいざというときに備えてエンディングノートを残そうと決心することが多いです。
エンディングノートを書こうと思い、ちゃんとしたエンディングノートを買ってきても、途中で挫折せずに最後まで書き上げるにはコツがいります。
ここでは、とにかくエンディングノートを最後まで完成させるための書き方のコツを説明します。
まずは何に書くか
エンディングノートを完成させるための書き方として、おすすめなのが、
まずは、パソコンやスマホのメモ帳などに箇条書きすることです。
加筆修正や後からの分類が楽だから、下書きにピッタリです。
できればパソコンのほうが、やりやすいでしょう。
ある程度完成に近づいたら、
最終的には紙ベースのノートとして残すべきです。
あなたに万一のことがあったとき、家族がエンディングノートを見つけてくれないと意味がないので、どんなノートでもいいのですが、紙ベースで残すことに意味があります。
Windowsのメモ帳を印刷してもいいのですが、なんか薄ペラくて、ありがたみがないし、自筆でないと後々揉めごとの種になりかねませんので、最後の紙ベースにする時点では、なにかしらの紙ベースのエンディングノートに自筆で書いておくのがよいでしょう。
ポイント
(1)書き始めはパソコン、スマホのメモ帳
(2)最後にまとめるのは紙のノート
紙ベースのエンディングノートでおすすめは
どんなノートでもいいので、わざわざお金を出して買わなくても良いと思います。
無料でいただけて十分使えるエンディングノートも沢山あります。
いくつか取り寄せてみて、あなたが書きやすいものを使えばよいでしょう。
候補がないと選びにくいと思いますので、無料エンディングノートでおすすめできるものを挙げると、
・よりそうのお葬式のエンディングノート
やはり葬儀社がサービスでくれるエンディングノートがよくできています。
葬儀の資料請求をすると無料でエンディングノートをもらえます。
エンディングノートをもらったからと言って、そこに葬儀を頼まなくてはいけないとか、しつこい連絡が来るなどは一切ありませんから、気楽に使っても大丈夫です。
もっと沢山の中から選びたいなら、
無料でもらえるエンディングノート一覧
こちらの記事を参考にしてください。
挫折しないエンディングノートの書き方
まずは、自分が倒れたとき、亡くなったときに、家族に伝えたいことを、思いつく順に、箇条書きで書いていきます。
分類とか気にしないで、思いつくものをドンドン書いていってください。
後から同じ種類のもの同士を側に寄せればいいので。
例えば、こんな感じ、
<エンディングノートの書き始めの例>
葬儀は簡素に
家族葬+α
呼びたい友達は〇〇、△△
倒れたときの延命処置はいらない
墓は○○霊園
宗派は日蓮宗
三回忌まではやってほしい
生命保険は〇〇生命、証書はタンス引出上から2番目の右奥の封書に
借入金なし
〇〇アパートは買換特例で建設、簿価はその前のアパートの建設費になる
銀行口座は、みずほ、ジャパンネット銀行、城南信金、通帳はタンス
証券会社は、大和証券、岡三オンライン証券、証書などはタンス
遺言書あり、机の脇の棚の一番上の箱の中
細かいことは〇〇税理士に確認
遠方の親戚〇〇さんは葬儀後に連絡
・
・
・
家族のためにエンディングノートに書いておきたい内容は、
一般的なエンディングノートで記載すべきと言われている項目の内、本当に必要な項目はごくわずかです。
絶対に書いてあったほうがいいことは、
・本人しか分からないこと
・後から調べるのが難しいこと
具体的には、以下のことが書いてあれば、残された家族はとても助かります。
エンディングノートの必須項目
・どの銀行に口座があるか
・葬儀に呼んでほしい友人の連絡先
・延命処置について
・宗派、菩提寺
・借金、保証人
どの銀行に口座があるか
相続で一番大変なことの1つが亡くなった方の口座の確認です。
タンスなど普段通帳を保管していそうなところを隈なく探すことはもちろんですが、故人の住んでいたところや、以前住んでいたところにあった銀行や信金などに名寄せといって口座がないか確認してもらいます。
これ結構大変で、対応も銀行、信金によってマチマチです。
亡くなって10ヵ月以内に相続財産から計算した相続税を納めるのですが、その後に口座が見つかったりすると税務調査が入ったり、修正申告などの手間とコストがかかりますから、本人が口座をすべて列記しれくれていると大変助かるのです。
葬儀に呼んでほしい友人の連絡先
これは本当に本人しかわからない項目の一つです。
友人の連絡先はやり取りしていた年賀状などから探すことはできますが、故人との関係性もわからないと葬儀のお知らせをしてもいいのかすらわからず躊躇してしまいます。
葬儀に呼んでほしい友人の連絡先は、あるととても助かります。
延命処置について
万が一、意思疎通できないくらいの状況となったとき、家族に延命処置の判断をさせるは非常につらいことだと思います。
これも本人が必要/不要を指示してあげておくと親切だと思います。
ただ本人もその時になってみないとその時の気持ちはわからないかもしれません。
今は、延命はいらないと思っていても、しゃべれないような状態で延命が必要になったときに自分のエンディングノートに記載したことを後悔しないように、しゃべれなくても意思疎通できる文字パネルなど使って最終確認はしてと記載しておくのもよいと思います。
宗派、菩提寺
これらは何となく家族に伝わっているものですが、菩提寺がない場合は、宗派、特に細かい宗派はぞんざいになりがちなので、
〇〇宗 △△派 など明記してあげておくとよいでしょう。
また、もし菩提寺などから生前戒名を授けてもらっていたら、それも記載しておきましょう。
菩提寺のある人は、自分の親の葬儀で納めたお布施の額なども書いておかれると、とても参考になると思います。
借金、保証人
借金があれば、どこから、いくら借りたか、いつ返済が終わる予定か。
なければ「ない」と書いてあると、遺族思いです。
保証人になっていれば、誰の保証人になっているか?いくらの保証をしているか?
保証人になっていなければ、「保証人にはなっていない」とあると家族が安心すると思います。
借金や保証人の立場は、相続により受け継がれます。
特に保証人になっているかどうかは、分かりにくく相続が確定したあとに発覚しても相続放棄すらできません。
日本の制度にあっては、保証人はほぼ債務者と同じですので、保証人になっているかどうか分からないことが遺族にとって一番怖い点です。
ここをハッキリとさせてあげることが家族思いのエンディングノートと言えるでしょう。
これら必須項目とあなたが列記した箇条書きを見比べて、不足分があれば付け足してください。
きっと家族思いのエンディングノートになると思います。
エンディングノートを書くときの注意
残された家族の足かせにならないように!
残された家族のために作るエンディングノートが、逆にその家族を苦しめてしまうこともあるので、そうならないように注意が必要です。
あなたが亡くなった後、あなたが書いた文字は、家族にとってかなり影響力があります。
法的拘束力こそないもののあなたと相談して変更できないので、エンディングノートに記載されたことをそのまま、すべて実現させようとして家族に思わぬ負担がかからないよう配慮してあげるのことも大事です。
一般的な項目はいいのですが、個別の希望などは、
断言ではなく、お願い口調で書いておくのも一案です。
また、「状況によりお前たちの判断を優先する」などと書いてあるのも助かると思います。
あくまでも希望はこうだが、絶対じゃないよ。
状況によって最善と思われることをしなさいと書いてあげるのがよいと僕は思っています。
だって、何年、何十年先の亡くなるときの状況や価値観って現時点では、分からないじゃないですか。
都度エンディングノートは書き換えるものと言われても、そんなにマメな人ばかりではない、というか何度も書き換えて常に最新のエンディングノートにアップデートし続けられる人のほうが珍しいと思います。
なので、エンディングノートの記載で家族を縛るような書き方はしないように気を配りましょう。
意思は示すが拘束はしない
というのが家族思いのエンディングノートの書き方だと思います。
紛失や盗難に備えて
エンディングノートが家族以外の第三者の手に渡ったとしても口座を乗っ取られたりしないように、暗証番号やパスワードは書かないようにしましょう。
口座番号を書く場合も最初の数文字くらいで全部記載しないほうがいいです。
遺言書と混同しない
エンディングノートは遺言書とは違い法的拘束力はありません。
ですので、財産分与のことなどは記載しないようにします。
遺言書とエンディングノートに同じ記載がある分にはそうそう揉めませんが、新たに更新などして記載している内容に違いが出てしまうと面倒なことになりますから、遺言書を書かれる場合は、遺言書とエンディングノートと内容が被らないようにしましょう。
エンディングノートの置き場
いざという時に家族に見つけてもらうために、
保管場所をどこにするかが重要です。
苦労して書いたエンディングノートが、実際、家族の役に立つかどうかは、
イザというときに家族がこれをすぐ見つけられるかどうかにかかっています。
万が一あなたが倒れたときや、万が一亡くなったとき、家族が探すモノの側に置いておくと自然に見つけてもらえることでしょう。
通帳や健康保険証や保険証書の側に保管しておくといいです。
自然に目に付きますから。
エンディングノートを書いたことを、事前に家族に知らせていても、いざという時は家族も精神的に舞い上がっていますし、時間もないことが多いので、すぐに見つかるところでないと、意味がなくなってしまうこともありますので、通帳などの側がオススメです。
エンディングノートはいつから書くか
冒頭にあげた経産省の報告書によれば、
エンディングノートを書き始める年代は、年代が上がるほど書き始める人の数も増える傾向にあるが、顕著な差というほどでもない。ただし70代以上になるとその数は急増しています。
エンディングノートを認識している人のみでアンケート集計した結果を見ると、
すでに書いてあるまたは書くつもりである人の割合
30代(n=492) | 34.9% |
---|---|
40代(n=503) | 37.4% |
50代(n=639) | 43.2% |
60代(n=676) | 45.0% |
70代以上(n=343) | 59.2% |
またエンディングノートを書き始めるきっかけとしては、
件の報告書によれば、
エンディングノート作成のきっかけ(作成経験者のみ) n=53
家族の死去や病気 | 39.6% |
---|---|
身近な事故や災害等 | 5.7% |
自身の病気、健康不安 | 22.6% |
家族、知人からの薦め | 9.4% |
TV、雑誌などで知って | 39.6% |
その他 | 7.5% |
特に理由はない | 18.9% |
やはり一番多いきっかけは、家族、おそらく親の葬儀を通して、今の家族のことを思い書き始める人が多いということがデータからも見て取れます。
エンディングノートを書きはじめるタイミングは、
70代以降で、親の葬儀があった人が多いということです。
でも50代でも、40代でも、30代でも、それこそ20代でも書き始めていいと思います。
あなたが守るべき人ができたタイミングで書いておくべきものなのかも知れません。
エンディングノートは、生命保険に近い感覚なのでしょう。
自分にもしものことが起きたときに、守るべき人のために書くものですから若すぎるということはありません。
今、すぐ書いてもいいと思います。
エンディングノートのデメリットは
エンディングノートのデメリットとして、よく挙げられるのが「法的拘束力がない」ことです。
でも、これが本当にデメリットになるのでしょうか?
もし「法的拘束力がない」ことがデメリットとなるようなエンディングノートがあるなら、それはエンディングノートとしては失敗だったということです。
エンディングノートには凝り固まったルールはありません。
何を書いてもいいのです。
それで自分の希望ばかり書いてしまう困ったエンディングノートもあるでしょう。
残された家族に負担になるような希望ばかりのエンディングノートにとっては、法的拘束力がないことはデメリットになるかもしれませんが、残された家族のことを思い、感謝されるようなエンディングノートであれば、法的拘束力は関係ありません。
家族思いのエンディングノートならデメリットはないと言い切ってもいいと思います。